黄泉比良坂(よもつひらさか)は黄泉への入口

2006年7月21日 撮影
黄泉比良坂
黄泉比良坂 (よもつひらさか) (島根県東出雲町揖屋)は、死者の国である黄泉への入口と考えられている。
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黄泉比良坂
この注連縄 (しめなわ) をくぐった先が黄泉なのか?

日本神話では、国土と神々を生みだした伊邪那美尊 (イザナミノミコト) (伊弉冉尊)が死んで黄泉へ落ちた後を、夫である伊邪那岐尊 (イザナギノミコト) (伊弉諾尊)が追った。ところが、黄泉で腐り醜い姿となった伊邪那美尊を見て恐れをなして逃げ帰り、黄泉比良坂に仁王立ちになって離縁を突きつけたという。
また、黄泉からの追っ手を遮るため、伊邪那岐尊黄泉比良坂に置いた巨石が道反の大神 (みちがえしのおおかみ) で、写真にも写っている。
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黄泉比良坂
黄泉比良坂の全景。この左の方に道反の大神がある。
また、右の方には池があり、おどろおどろしい雰囲気が伝わってきて、ナイスなスポットである。

黄泉比良坂の周辺は小さな丘陵になっている。
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オルフェウス型神話

イザナギノミコトの冥界下り
イザナギノミコトの冥界下り
古事記によると、伊邪那岐尊は黄泉から逃げ帰る際、黄泉比良坂を上ったと記されている。当時の黄泉は、かならずしも地下にあったわけではないようだ。
オルフェウスの冥界下り
オルフェウスの冥界下り
さて、夫が死んだ妻を追って冥界に赴くという話は、ギリシア神話のオルフェウスとエウリュディケによく似ている。
さらに時代を遡ると、シュメール神話の女神が単独で冥界に攻め込む「イシュタルの冥界下り」がある。イシュタルと同じ女神イナンナが冥界に下り、現世に戻るために夫ドゥムジを身代わりに差し出す「イナンナの冥界下り」もある。これと似ているのが、ギリシア神話のハデスとペルセポネの話。
いずれの話にも共通しているのが、冥界の食材を食べたり、衣装、装飾品を身につけると、現世に戻れなくなるという禁忌だ。わが国のケガレ思想に似ているようにも感じる。
これらの話をオルフェウス型神話と呼ぶとしよう。
世界神話学入門』の著者、後藤明さんによると、オルフェウス型神話は、2人の神が厳正と冥界の間で離縁を誓いあう「誓建」をモチーフとしたローラシア型神話と指摘している。ローラシア型神話は、世界と人間の起源を説明し、契約のような抽象概念を扱える認知革命を達成したホモ・サピエンスが作り出したと考えている。

天国への手紙

2017年(平成29年)に、亡くなった人への手紙を投函できるポスト「天国(黄泉の国)への手紙」が設置された。毎年6月、ポストの前で、手紙を火にくべるお焚き上げを行い、故人に届くよう願いを込める。

交通アクセス

JR山陰本線「松江駅」から電車で約10分。「揖屋駅 (いやえき) 」から約1.7km。徒歩で約26分、車で約3分。
松江駅の近くでレンタサイクルを借りるというのもいいだろう。

地図には道がないが、黄泉比良坂(がある池の近くまで車で入ることができる。地元のタクシーに電話予約しておくのが無難だろう。
日本神話 関連

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近隣の情報

(この項おわり)
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